廃墟写真集「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」に見る廃墟の美


かつて人がたくさんいた場所が、人がいなくなり時間の経過と共に朽ち果てていく。朽ち果てた末の姿は、不気味であり近寄りがたい雰囲気を醸し出しています。

「廃墟」とは日常の世界から切り離された異空間のようで、どことなく触れてはいけない印象を抱いてしまいがちです。
少し怖く感じてしまうそんな廃墟への見方を一変させる写真集が、2018年12月18日に株式会社エムディエヌコーポレーションから出版されました。

日本の廃墟を撮影した写真集は、読後に私たちの持つ廃墟への印象を大きく変化させてくれます。

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日本の廃墟の「美」を集めた写真集

廃墟に持つ不気味な印象を払拭させる魅力を持った写真集、「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」。

その名の通りに日本全国にある廃墟を写し、廃墟の「美」を引き出しています。

子どもたちがいなくなった学校、働く人が去った病院や工場、住む人々が消えた集落。
かつて人がいた名残のある空間の美しさを捉え、幻想的かつ神秘的に写真に収めた一冊です。

1ページ、1ページに写る廃墟の光景は、見ている内に心を深く奪われていきます。

写真集の構成内容について


©-2018 エムディエヌコーポレーション MdN編集部 「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」

「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」は、全5章の構成となっています。

1章「学校・病院」
2章「遊園地・テーマパーク・レジャー施設」
3章「ホテル・宿泊施設」
4章「工場・鉱山」
5章「集落」

生活の中に当たり前のようにあった場所、お休みの日に家族で訪れる特別だった場所、毎日ずっと人が汗して働いていた場所、人が寄り添い暮らしていた場所。

いるべき人の存在を失った空間のもの悲しさと静けさが、全ての廃墟写真から伝わります。

人工物が自然の一部となり消えていく儚さ


©-2018 エムディエヌコーポレーション MdN編集部 「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」

廃墟とは人間が造った空間の抜け殻です。

「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」に登場する廃墟は、多くが自然の中に呑み込まれつつあります。
東北にある廃校は建物全体が苔に包まれ、同じく東北にある水力発電所は内部まで植物が入り込み、近畿にある廃遊園地は遊具と植物が融合している。

人工空間が長い時間をかけて自然の中に消えていく様子は、儚くてなりません。

なぜ廃墟は人の心を揺さぶるのか

廃墟は不気味で足を運びたくない場所と感じますが、近くにあればつい視線が行く場所でもあります。

避けるべきなのに、つい廃墟に目を向けてしまう。
その理由は廃墟が謎を秘めている空間だからかもしれません。人の管理から離れた廃墟は、外の世界とは異なる空気を持つようになります。そこに人は無意識に神秘性や幻想性を感じて、心を揺さぶられるのでしょう。

「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」は、廃墟の心魅かれる独特な雰囲気を写真でじっくり味あわせてくれます。

廃墟を「美しい」ものとした写真集


©-2018 エムディエヌコーポレーション MdN編集部 「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」

廃墟は怪談話などのモデルに使われることがあり、私たちが廃墟に抱く印象はそういった情報からの影響もあります。

「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」は、廃墟を「美しい」ものと認識して撮影しています。
背けるべきものとしてではなく、廃墟を美しい場所として見る。廃墟を「美」を含んだものとして撮られた写真は、廃墟の不気味さが払拭され廃墟が一種の「聖域」にも見えてきます。

「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」の廃墟写真を一目見れば、廃墟へのおぞましさは薄れキレイなものに見えてくるでしょう。

おわりに

子どもたちが元気に通っていた小学校や、大勢の家族連れでにぎわっていた遊園地。過去に人々が存在した廃墟の風化していく美しさ。「美しい廃墟―日本編―耽美な世界観を表す日本の廃墟たち」で、廃墟の真の魅力がわかります。


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