「好きなことしか本気になれない。」が教えてくれる大切な自身の価値観と感性に根ざす在り方とは


人生に完全な正解は存在しません。
残念ながら、これがこの世の真実です。

それでも我々は生きていかなければなりません。
正解がないと悲嘆する暇もないほどに、世界は回転を速めています。

ここで、発想の逆転。
わからないままに決めてきた選択を、自らの手で正解にしてしまいましょう。
そうすれば、誰にも文句は言えないはずです。

正解にするためには、一生懸命頑張らなければなりません。
ではどうしたら頑張れるのか、考えて見ると答えはカンタン。
自分が好きなこと、やりたいことなら頑張れるのではないでしょうか。

今回紹介するのは、そんな「好き嫌い」こそが大切と述べた人の著作です。
本記事では、自分の気持ちや価値観の強さを確信させてくれる、そんな一冊を解説します。

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「好きなことしか本気になれない。」について

本書は、2019年に株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン が発行したノウハウ本です。

変わりゆく時代を生き抜くために必要なのは、自分自身の価値観に従うこと。
その価値観とは、自分にとっての「働く」ということは、いったい何なのか。
社会人に原点回帰を促すことで、この先の時代に踏み出すための一冊です。

何よりも、自分がどう在りたいかこそが、成功に導くためのカギだと説く本書。
このとき、感情は理屈を追い越しているのです。

自らのこれまでのエピソードをふんだんに盛り込んだ内容は、読み物としても楽しめるほど。
好きなことや価値観がわからない人でも、見つけ出すための方法が紹介されています。
今までよしとされなかったものこそが大事という、発想の転換を促す本です。

著者の南章行氏は、株式会社ココナラの現代表取締役。
氏の立ち上げた上記会社及び運営サイトは、本書の思想をまさに実践するもの。
なかなかの経歴の持ち主ですが、たどり着いた考えはシンプルゆえにわかりやすい内容です。

自分の仕事の意義を見失いがちな人には、ぜひとも読んでほしい著作となっています。

好きなことでしか成長できないということ

「好き嫌い」で物事を判断してはならないと、いつからそう思うようになったのか。
本書の最初の一文は、こうしたセンセーショナルな内容で始まります。

たしかに、好き嫌いといった感情はビジネスの場においてほとんど見当たりません。
何事にも論理的な整理がなされているのが常です。

そこにきて本書は、感情による意思決定や、主観的な個人の価値観に重きを置いています。
好き嫌いに基づく意思決定が、これからの社会には必要だとしているのです。
加えて、理屈では先に進めないという真理を説いています。

自分が好きなことに自信を持って進むことこそが大切だと示す本書。
以下、本書の主な項目の内容をそれぞれ紹介していきます。

確実に変化する時代と自分

時代の荒波は絶えず押し寄せ、一定であり続けるものなど何一つありません。
世の中は確実に変わりゆくものなのです。
先のことなど、誰にも分かりません。

その一方で、少子高齢化は確実に進んでいます。
これだけは、疑いようもなく確実に起こる未来だといえるでしょう。
定年後も働かなければならない未来は、いよいよ現実的となってきました。

60歳定年の時代だなんて、もはや太古の昔に置き去りにされた幻想。
その先20年近く働かなければ生きていけない時代が到来しつつあるのです。
となれば、人々はなんとかしてこの局面を切り抜くための方策を講じることでしょう。

本書は、そんな人たちに対して、2つの助言を与えています。
その1つが、時代が固定化されることはあり得ない、という視点です。

過去の経験を活かして新しい仕事を得るという考え方は、非常に合理的な判断といえます。
ただし、そこから得た知識やスキルは、これから先も通用するものだといえるでしょうか。
「これだけは持っておきたい資格やスキル」などと言うものもあります。
いったい誰が、その有用性を保証してくれるのでしょうか。

そのときそのときで、求められることもできることも変わってくるもの。
客観的でかつ絶対的なものなど存在しないのです。

そしてもう1つの助言こそが、自分を固定化してはいけないということ。
著者は、過去に縛られて身動きできないことが、いかにもったいないことかを説いています。

弁護士を目指したものの、何年やっても試験に合格できなかった者。
彼はこれまで費やした日々を活かしたいと思い、企業に入社し、法務部で働くことに。
仕事も順調、彼は「これまでの日々は無駄じゃなかった」と考えるようになります。
裏を返せばこれは、結果を出せなかったこれまでの過去を美化していることに他なりません。

同時にこの者は、司法試験で勉強してきたという過去に縛られています。
企業法務部入社は、過去を良い思い出としたいがために、狭められた選択肢ではないでしょうか。

固定化の例をもう1つ。
「10年後には起業する」などといった、人生の長期プランを立てる人は注意が必要です。
キャリアプランを見据えていて立派と思うかもしれませんが、本書ではそうは思われていません。
なぜなら、10年後に起業するという目標が、自身を縛り付けているからです。

10年後に何をやりたいと思っているか、何を好きでいるかだなんてわからないもの。
実際に10年経って、起業以外にやりたいことが出来ていたとした場合。
別の選択肢を選べば、先ほど同様、起業のためのこの10年が否定されてしまうわけです。
そんな心持ちの中起業したとして、会社が今後上手くいくとはどうにも思えません。

価値観といった人の根っこの部分もまた、その都度変化します。
そして、理屈は感情には勝てません。
嫌なことを割り切ってやるより、タダでも好きなことをやるほうが、結果的に上手くいくというもの。
本書はこのスタンスを軸に据えて書かれています。

論理は感情に勝てない

先述の通り、本書は、人と世の中は確実に変わることを述べています。
そしてその上で、自身を固定化させる危険性についても触れてきました。

つまり、局面ごとに一番よいと思う判断をずっとしていかなければなりません。
変わる時代と自分を受け止めるのであれば、当然の結末でしょう。

本書は、この「意思決定」の重要性を説いています。
自分の価値観や感性に従った意思決定の積み重ねが、人を成長させるとしているのです。

ということであれば当然、自分自身に根ざすものが大変重要なファクターとなるでしょう。
自分らしく生きることが、これからを生き抜くために必要なスタンスなのだから。
にもかかわらず、この点に関して本書は、まず最初に「自分らしさの罠」を紹介しています。

自分らしく生きることは、人と違ったことをして生きることとイコールではありません。
しかしながら、現在、この考え方にミスリードさせる言葉がまん延しています。

これはつまり、人と違ったことを自身が好きだと受け入れられるかということ。
先の項目でも触れましたが、気持ちに素直にならなかった上での判断は後先短いでしょう。
人と違うことを目的にするのでなく、自分がどう思うかに根ざすべきだと説いています。

「普通とは違う」、「常識からはみ出す」などのワードもNG。
そもそも、ここで言う「普通」とは何でしょうか。

普通や常識などという謎の基準の同調圧力に負けすぎる必要はないのです。
さらに言えば、そんなものを意思決定の判断材料にしていてはなりません。
自分らしさを大切に、信じてあげることが大事でしょう。

そして、決断の場面は、いついかなるときも突然に降りかかってくるもの。
何の準備もなく、その場で判断を迫られることだってあるでしょう。
そのときの判断基準は、自分のバックボーンに基づくものです。

何かを決めるために、綿密に計画を立てたり、選択肢を吟味することは悪くありません。
しかし、計画や理屈立てばかりやっていては、意思決定することは決してできないでしょう。
いつの間にか好機を逃していたり、選択肢を減らしてしまうことだってあります。

理詰めでは目の前の壁は乗り越えられません。
一歩先に足を踏み出す原動力はあくまで、自分がどう感じて、どうしたいか。
意思決定の場面において、論理は感情に勝てないのです。

結局のところ、この世に正解は存在しません。
やるべきことはただ1つ、目の前の物事に対して、意思を示して先に進むことです。
ときには結果を生み出さないものでも、自分がいいと思うのであれば、全力でやりきること。
この積み重ねによって人は成長し、これからを生き抜く基礎を作り上げていくのです。

本書は、自らの意思決定が最良のものとなることを信じてやみません。
そして、著者自身の実体験から導き出されたこの考え方は、読者に勇気を与えてくれます。

セルフリーダーシップ

セルフリーダーシップとは、本書における重要な要素の1つ。
今後は、誰しもがこれに従って生きていくことが求められるとしています。

本書も述べていますが、セルフリーダーシップは、スキルの1種ではありません。
たしかにこれまでは、リーダーシップはリーダーに求められるスキルの1つでした。
しかし、本書におけるスキルは、セルフリーダーシップに基づき行動して身につけるものです。

むしろ、スキルや価値観を知るための意思決定プロセスというべきでしょう。
この意思決定によって、自分の本質的な部分が見えてくるのです。

言い換えれば、セルフリーダーシップとは、自分のことは自分で決めてよいという権利のこと。
自分がどうしたいかは自由に判断してよいのです。
ただし、いったん決定したことに対しては、当然ながら責任を持たなければなりません。

人生100年時代、先は長くなりました。
そう考えたとき、自分のキャリアは今のままでよいのか、不安を覚える人も多いでしょう。
今の会社が今後も安定して存続していられるとも限りません。
現在の仕事にやりがいを見い出せず、くすぶっている人だって大勢います。

ならば、せめて自分らしく生きたほうがよくないでしょうか。
先も見えず正解もない世界で、長いこと生きていくのであれば、考えてみて損はありません。

そうはいっても、所詮は結果論でしかないと思う人も多いでしょう。
一方で、人間はたしかに、心の満足を得られる物事に価値を見出すものです。
やりがいや楽しさで満たされていればこそ、上手くいく確率は高まるのではないでしょうか。

こういう視点もあります。
「やってする後悔」と「やらないでする後悔」ならば、どちらがマシか、という話。
人によって、どちらを重要視するかで、後悔の度合いは変わるでしょう。

以上のように、これからは個人のバックボーンに根ざした価値判断が求められます。
社会を構成する単位において、個人の存在感は一層増すことでしょう。
組織内においても、自らを引っ張るセルフリーダーシップはますます重要です。

そして、自ら選んだ道を進んでいくことには、それなりのパワーが要ります。
だからこそ、自分の価値観を持つことが何より大切です。
いいと思ったことに対しては、たとえ無償でも全力を出せるのが人間。
後に残るのは、さわやかな達成感でしょう。

さらに、そのひたむきな一生懸命さが買われ、人と人とがつながっていくかもしれません。
そこにはお互いに助け合うネットワークが構築されます。
我々が目指すべき今後の社会の在り方は、こういう形なのではないでしょうか。

本書は、これからの時代を見据える全ての人に、1つの見解を提示します。
一見感情に任せがちに見えますが、著者の論考は極めてクレバーです。

自分のストーリーを生きていく

本書が、ビジネスパーソンがキャリアを考えるための本であることは、間違いありません。
けれども、著者は「キャリアアップ」を目指すなと言い放ちます。

当然ながら支離滅裂なことを言っているわけではありません。
「キャリアアップ」ではなく、自身の「ストーリー」を紡いでほしいと言っているのです。

セルフリーダーシップを発揮して、意思決定を重ね、前に進むこと。
歩いて出来た道は、自分で考え、よいと思ったものたちの積み重ね。
この道こそが、その人にとっての「ストーリー」です。
そして、これまでの意思決定の蓄積は、正解にしていかなければなりません。

「キャリアアップ」と言うと、特に会社員におけるニュアンスが強く出ます。
ですが、社会イコール企業ではありません。
本書が説くのはあくまで、社会を生きる多くの人のための「ストーリー」の必要性です。

とりわけ筆者は、個人と社会の関わりに注目しています。

大規模に複雑化した社会システムの中、人々は自分の仕事に対して誇りを見出せません。
自分が成した物事がどこでどう役立っているのか、見えにくいからです。
他人が喜ぶ姿は見えてこず、内から生じる達成感もわきあがりません。

そうして、自分の外部の一切は「他人ごと」として切り離していくようになります。
「他人ごと」に感心を寄せるはずもなく、感謝などもってのほか。
そのくせ、自分に不都合でもあろうものなら、罪や責任を一気に外部になすりつけることでしょう。
被害者意識ばかりが肥大化し、口ぐせは「社会のせいだ、国のせいだ」。

彼らからは、自分も社会の構成員だという意識が抜け落ちています。
これは、大規模な集約化、効率化を追求した現状の社会システムによる弊害です。
特に、企業がもたらした功罪は計り知れないものでしょう。

自分は社会にコミットしているんだという実感。
社会を成立させているのは、他人ごとではなく「自分ごと」。
多くの「自分ごと」の積み重なりが、社会を成立させていることに気付く必要があります。

そして、自分ごとであれば、それは言うまでもなくセルフリーダーシップによる意思決定の結果。
自らの意思決定には責任が伴いますので、決して他人ごととはなりません。
紛れもなくその人の「ストーリー」の一部です。

社会は、他人ごとではなく、自分ごとがつながり合った集合体であるということ。
この事実を少しでも思い出せるようになってくれば、世界はもっと優しいものとなるでしょう。

本書の著者は、そんな目標に資するために株式会社ココナラを立ち上げました。
主に、助けてほしい人と助けられる人をマッチングさせるマーケットプレイスの運営です。
直接的な関わり合いが、「助けてもらえた」、「役に立てた」という確かな実感をもたらします。
社会というものはやはり、個人こそが最小構成単位であり、最も重要なのです。

本書は、世の中がこのままではまずいという危機感の上に書かれています。
ですが、自分たちにできることはそれほど難しいものではありません。
ただ、自分の中の価値観や感性を磨き、信じて一歩踏み出すことだけ。

そうして「ストーリー」を作り上げた者たちが、手を取り合い、時代の波を乗り越えていくこと。
本書が目指すところは、まさにこのことに尽きます。

おわりに

自分がした仕事に対して実感がわかないということ。
この点については、まるで心の中を言い当てられたかのように突き刺さりました。

「社会人」と散々呼ばれてきましたが、はたして社会の役に立っているのか。
仕事柄もありますが、誰にどう届いているかなんて、全く見えませんでした。

それと同時に、自分の中で気付いたことがあります。
自分はもっとダイレクトに、物理的に何かを生み出してコミットしていきたいということ。
思えばそれは、昔から自分の中にあった気持ちだったことも悟りました。

実際の肌感覚として、現行の企業組織は限界を迎えています。
どの国よりも働いて、こんなに生産効率性が低いだなんて、いわゆる先進国で日本だけでしょう。
悲しいかな、大企業や国は全く頼りになりません。

これからの時代、長く働くには優しさと思いやりが必要です。
助け合いの世の中とならなければ、この国は沈没してしまうかもしれません。


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