3人の女性に教えられ最後に少女が見つけた幸せは何?「また、同じ夢を見ていた」


Web小説から書籍化された「君の膵臓を食べたい」は、切ない青春ストーリーとして大ヒットしました。映画化されたので、タイトルを知っている人もいるでしょう。

著者の住野よるさんが「君の膵臓を食べたい」の次に出版した2作目を、今回はご紹介したいと思います。ご紹介する本は「また、同じ夢を見ていた」というタイトルで、人付き合いの下手な少女が3人の女性たちとの出会いを通し「幸せ」について考える物語です。

スポンサーリンク

「また、同じ夢を見ていた」の紹介

先にお伝えしたように同作は「君の膵臓を食べたい」で人気作家となった住野よるさんの商業作品2作目で、2016年に双葉社から出版されました。

前作からも注目度が高かったこともあり、出版後の1週間で1万部を突破しています。文庫版も出版されていて、そちらは2019年現在で40万部以上のベストセラーです。

「また、同じ夢を見ていた」は小学生の少女が、「幸せ」とは何かを見つける内容になっています。主人公は小学生の少女「奈ノ花」で、周りの子より大人びているがひねくれ者で友だちがいない浮いた子です。その他に3人の女性たちが登場します。

女性たちは自傷行為をしてしまう孤児の女子高生・南さん、身を売る仕事をしている女性・アバスレさん、一人暮らししている老女・おばあちゃん。彼女たちと奈ノ花にはどんな繋がりがあるのか、それを読み解くことも重要な物語のキーワードになっています。

奈ノ花は授業中に出された国語の課題で、「幸せとは何か?」を考えなくてはいけなくなります。彼女はたまたま知り合った3人の女性たちと関わる中で、課題の答えを探し出そうとします。

小学生で人生経験がまだ短い奈ノ花と比べて、3人の女性は長く生きて色々なことを体験している。孤児の南さんは死んだ親に対して、アバスレさんは人との関わり方について、おばあちゃんは昔のクラスメイトである男の子に対して悔いていることがあった。

物語が進む中で奈ノ花には人間関係の問題が起こり、女性たちの悔いによるアドバイスを受け苦しいことを乗り越え成長していく。

人生の辛さを痛いほど知っている大人の女性たちの導きで、奈ノ花は最後にどんな幸せを見つけるのでしょうか。

3人の女性の正体の暗示

南さん・アバズレさん・おばあさんは、みんな人生のどこかで選択を間違えたことが心にひっかかっています。彼女たちは自分のように奈ノ花が選び方を間違えないために、少女を正しい方向へと導きます。

南さんについて

南さんは飛行機事故で両親を亡くしていて、事故前に両親と喧嘩し仲違いしたままであるのを後悔し続けていました。親は死に謝れもしないから、南さんは自分で自分を傷つけています。

両親が多忙で学校の参観日に来れないことで喧嘩した奈ノ花に、喧嘩別れのまま親と会えなくなった南さんは仲直りするよう諭します。奈ノ花には自分のような思いはしてほしくないと。

奈ノ花は南さんの言葉に従い両親との仲を修復でき、授業参観に来てもらえました。両親が仕事で乗る予定だった飛行機では事故が起き、奈ノ花の両親は参観日に出たので命拾いします。

南さんの両親の死因は飛行機事故。奈ノ花の両親も飛行機に乗っていたら…。何かしらの符合が感じとれます。

アバスレさんについて

アバズレさんは孤独な女性で家族と疎遠になっていて、親しい知人や友人もいません。奈ノ花に「季節を売る仕事」をしていると話している通りに、彼女は体を売る仕事を生業にしています。

子どもの頃のアバスレさんは奈ノ花のように周囲から浮いたタイプで、他の子をバカにした目で見るから嫌われていた。嫌われても気にもせず1人で過ごしていたが、大人になり孤独の苦しみに気づく。

奈ノ花も人を上手く思いやれないところがあり、それが原因でクラスメイトと諍いを起こし無視されてしまう。自分から他人に関わらず生きようと考える奈ノ花の話をきき、アバスレさんは奈ノ花を止める。

アバズレさん自身が奈ノ花の考えと同じ道を選び結果として孤独に生きていることを語り、人と関わらない道を行こうとする奈ノ花を思いとどまらせる。

奈ノ花はクラスメイトと和解する道を選び、他人の考えにも目を向けるようになります。奈ノ花と同じくクラスメイトと不和になった経験があるアバスレさん。これにも奈ノ花と彼女の繋がりを指す深い暗示が隠されています。

おばあちゃんについて

1人静かに家で暮らしているおばあちゃんは、外国で暮らす画家の友人がいます。絵描きである友人は繊細なタイプのようで、昔おばあちゃんは繊細な心の誰かを言葉で傷つけてしまったようです。彼女の後悔はその誰かを傷つけてしまったこと。

奈ノ花がクラスメイトから無視されるようになったきっかけは、同級生の男の子に対しての言葉が原因にあります。南さんのアドバイスで男の子とも仲直りしますが、奈ノ花は自分の発言で彼を傷つけた事実に苦しみます。

おばあちゃんは奈ノ花と男の子が打ち解けられるヒントをあげ、奈ノ花は男の子との心のわだかまりをなくすことができた。

おばあちゃんが傷つけた相手、奈ノ花が傷つけた男の子。

3人の女性たちについて、勘のいい人は気づくでしょう。

おわりに

奈ノ花が幸せについて考え、答えを見つける物語。終わりに彼女が自分なりに見つけた幸せは、どんなものか知りたい人は読んでみましょう。3人の女性たちの存在も謎解き的楽しさがあります。


スポンサーリンク