起業は誰でもできる!「僕たちは、地味な起業で食っていく。」が指し示すこれからの「地味な起業」とビジネスの本質


「働く」ということに関しては、日々不安が絶えません。
不安ばかりがのしかかって、身動きができないでいます。

さて、「働く」を考えた場合、真っ先に思い浮かべることは何でしょうか。
今後の身の振り方、キャリアプランと考える人は決して少なくないでしょう。

今後はますます個人サバイバルの時代になっていくという説もあります。
そうなったとき、自分を助けてくれるのは何でしょうか。

ここで、「自分には何もない」と悲観した人にお薦めするのが今回の本書。
何もないことは決してなく、地味で見落としがちな能力が十分に道を拓くのです。

本記事では、地味な能力に対する発想の大転換を与えてくれる本をご紹介します。

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「僕たちは、地味な起業で食っていく。」について

本書は、2019年にSBクリエイティブ株式会社が発行したノウハウ本です。

これからの時代を生きるために、「地味な起業」という働き方を紹介しています。
起業は一世一代のド派手イベントだけではないということ。
この全く新しい視点を与え、「地味な起業」とその有用性を解説しています。

誰でもできる事務サポートの実践が生み出す、多くのキャリア選択肢。
非凡な才能がなくても、独り立ちして起業できることを、著者の実体験をベースに書かれています。

実践例を交えた解説で非常に読みやすく、小難しい考え方も一切ありません。
このメソッドで実際に成功された方のエピソードも内蔵。
それでいて、忘れがちなビジネスの本質をあらためて教えてくれる、斬新な一冊です。

著者の田中祐一氏は、大企業でSEとして勤めていた元会社員。
様々な試行錯誤や失敗談が余すことなく詰め込まれ、説得力とともに親近感を覚えます。

自分には何もないけど今後は心配という人に、是非読んでほしい内容です。

コストほぼゼロの最強戦略「地味な起業」

タイトルにもなっている、「地味な起業」という言葉。
当然ながら本書は、この「地味な起業」とは何か、そしてなぜ「最強」なのかを説明しています。

端的に言えば、本書は副業やフリーランスで失敗しないためのマインドを紹介する本書。
そして、この地味で確実な働き方は、将来への多くの可能性を導いてくれるのです。

本書の視点は、働くということに関する極めて本質的な部分を指摘しています。
社会にコミットするための「働く」という行為を、再認識させてくれることでしょう。

その本質的な部分を自らの資産として、したたかにこの世を生き抜くための方法。
ここからは、本書のエッセンスを4つの視点に分けて紹介していきます。

起業には「地味な起業」が存在する

本書の冒頭は、「地味な起業」というものについての解説です。
この耳慣れない言葉の意味を示したうえで、これがすべての基本であると論じています。

多くの人は、起業というものに対し、こういうイメージを持つことでしょう。

すなわち起業とは、革新的なスキルやアイディアを持ち、カリスマ性のある人物が旗上げるもの。

本書では、このいわゆる一般的なイメージの起業を、「派手な起業」と名付けています。
そして、この対極に位置する考え方の起業が、「地味な起業」です。

「地味な起業」に、特別な才能やカリスマは必要ありません。
むしろ、得意なものや好きなものがない人ですら簡単にできると言いきっています。
パソコンとスマホがあれば誰にでもできるものなのです。

本書のスタンスは、会社に頼らず手堅く収入を得るための方法を伝授するというもの。
従って、そこまで規模の大きな話ではありません。
副業として役立てるか、フリーになってやるのか、選択肢は人それぞれです。

そんな「地味な起業」とはズバリ、誰かのサポートをすることを指します。
サポートというのは、誰にでもできる事務作業のようなもの。
メール返信から請求書作成、ホームページ管理、セミナーの会場運営などまで。
会社員なら誰しもが行ったことのある作業を、依頼主の代わりにやってあげることです。

著者曰く、この手の事務を苦手とする人は予想以上に多いとのこと。
それを手伝ってあげることで感謝され、継続的なサポートに繋がっていくのです。
はじめは良かれと思ってタダでやってあげた作業が、対価をもらえるようになることも。

突飛なアイディアやビジネスモデルを延々考えていても、思いつかないものは思いつきません。
時間を浪費するくらいならば、困っている人を助けようという姿勢です。

ビジネスというものは、社会的に需要のあるものから生まれます。
言い換えれば、需要は問題を解決できるものに集まるもの。
どんなに小さなことでも、手を差し伸べて助けてあげれば、それはビジネスなのです。

そして、小さなサポートでも、ちりも積もれば山となるというもの。
細かな作業をこなしていけば、やがてはそれなりの収入となっていきます。
本書は、この積み重ねを「地味な起業」と称しているのです。

地味な作業が市場価値となる

誰かを助ける事務サポートを「地味な起業」としている本書。
これはいつでもどこでも誰でも始めることができます。
そのハードルの低さこそが、「地味な起業」の最大の魅力でしょう。

これからの世の中を案じれば、検討しない手はないのです。

さて、「地味な起業」とは言いますが、この起業における主役はいったい誰でしょうか。
答えは自分自身ではなく、サポートをする依頼主です。

本書は、「地味な起業」を行うにあたって、自身が主役である必要はないと述べています。
相手を助けることで、クライアントの事業を成功に導くことがオーダーなのです。
事業が上手くいけば、報酬額がアップするかもしれません。

そして、簡単な事務作業が何でもできる人間ほど重宝されます。
多くの場合、求められているのは何かのスペシャリストではなく、ゼネラリスト。
自分には何のスキルもないと落ち込むことはありません。
「地味な起業」において、「○○屋」である必要は全くないのです。

資格だって特段要りませんし、実績がなくても問題なくできます。
ここでは専門的な知識や技術など求められていません。
意外と普通のことに困っている人の方が多いのです。

起業という言葉ゆえに、主役は自分と考えがちですが、そうではありません。
あくまでもクライアントを助けてあげる姿勢が大切なのです。
この点については、後の項目で詳しく解説します。

さらに、相手がどんなことで困っているのかを探る方法を解説する本書。
人物をよく観察する力と、ニーズを探る質問を投げかける力が大切だとしています。

相手のニーズを探り、事務作業などでサポートしてあげること。
この問題解決能力は、そのまま自身の市場価値となります。
また、サポートするクライアントのビジネスに触れ、学ぶこともできるでしょう。
会社に守ってもらえないこの時代、自らの価値を高めておくことに損はありません。

そのためには、まずはやってみること。
特に個人での仕事は、全てテストだと思ってぶつかるくらいがよいでしょう。

これからの時代を生き抜くうえで、ぜひとも持っておくべき視点だといえます。

以上のように、初期投資がほとんどなく、思い立ったらすぐできる「地味な起業」。
とはいえ、今までの話からいけば、ほぼノーリスク。
いくらなんでも話が出来すぎていると疑うのも無理もありません。

この点については、本書内で著者の実際の失敗談が紹介されています。
経験に裏打ちされた本書の説得力は確かです。

感謝と信頼がマネタイズされる

「地味な起業」の重宝性と市場価値についてみていきました。
ここからは、その「地味な起業」にたどり着き、事業化する方法を解説していきます。

地味な事務作業で人助けすることから始まる「地味な起業」。
その助けを欲している側と助けになれる側のマッチングの方法は多種多様。
一番単純なのは、セミナーや交流会で話しかけ、聞き出すこと。
今ではクラウドソーシングや在宅業務の仲介サイトなどもあります。
サイトを見ると、驚くほど事務作業依頼の案件が出ていることがわかるでしょう。

ここで、本書ではサポートの相手を選ぶにあたって重要なポイントを挙げています。

それは、相手を思って仕事ができるかという点。

本書は、自分が好きな人、応援したいと思う人をサポートすべきと説いています。
相手を理解し、相手のためを思えるからです。
そうして一生懸命にサポートしてあげれば、相手から感謝されるでしょう。
感謝はいずれ信頼となり、信頼は資産となります。

目の前の報酬にとらわれていては、長く続かないと言う著者。
そうではなく、築いた信頼こそが資産として後々マネタイズされていくのです。
はじめは無償のボランティアでも、その経験は確かに自身の資産となります。

ビジネスは、人と人との間に生まれるもの。
本書はこの点をよく理解しており、人間関係の重要性を再三強調しています。
人間関係が構築されていれば、別の繋がりが生まれることだってあるでしょう。

また、サポートをするにあたっては、途中から自己中心的になる可能性もあります。
目的が本末転倒になることもあり得るのです。
戒めとして、本書では著者のエピソードが描かれています。

店の広告運用を行うも、失敗に終わり依頼主を失望させてしまったと感じる著者。
しかし依頼主は、むしろ店のことを本気で考えてくれたことを評価し、意外な事に依頼は継続。
著者は依頼主の言葉を聞いて自分を恥じました。
目先の利益に気を取られ、自分の失敗ばかりを気にしていたからです。

本書の言葉を借りるならば、「お金よりも経験を買え」ということ。
このように相手を思って仕事をする姿勢こそが、今後に繋がると振り返っています。

地味なスキルを武器に、人の懐に飛び込んで支えたいと思う気持ち。
「地味な起業」の根幹はそこにあるのです。

「地味な起業」が選択肢を増やす

ここまで解説してきた、「地味な起業」の万能さとその本質。
勝ち取ってきた信頼は資産となり、文字通りその人に人生の選択肢を与えます。

「地味な起業」を始め、ある程度軌道に乗ってきた人の場合。
このとき、彼には先の将来を考えるにあたっての選択肢が生まれます。
すなわち、このまま2足のわらじを続けるか、独立するかです。

単純な話ですが、「地味な起業」をやらなければ、こうした岐路に立つことはなかったでしょう。
漠然と会社勤めに甘んじることになったかもしれません。

あるいは、「地味な起業」で様々な人に触れ、信頼を勝ち得てきた人の場合。
サポートしていくうちに知らなかった世界を知り、やりたいことを見つけられるかもしれません。
また、依頼主の側にいればそれだけ、幅広い見識やノウハウを間近で見ることもあるでしょう。
信頼のほかにも、そうして学んできた新しい知識もまた、自身の資産となるのです。

色々な世界を知れば、それだけ選択肢の幅は広がるもの。
目の前に数多に広がる道を選ぶ権利は、「地味な起業」をやってきたからこそのものです。

本書は、どの道を選ぶかはその人次第としたうえで、キャリアのステップアップを薦めています。
「地味な起業」で築いてきた資産を活かさない手はないからです。

長い目で見れば、この先どうなるかは分かりません。
誰もが社会や企業に対し、不安と不信感を募らせている時代です。
では、確かに信じられるものとはいったい何なのでしょうか。

それこそが、積み上げてきた信頼関係と地味なスキルです。

目先のことばかりに気を取られてはいけません。
先を考えた際に今からどう動けばよいのか、それとなく不安視しておくだけでもよいでしょう。
本書は、そんな問題を考えるための、1つのケースモデルを示しているのです。

誰でもできることを、誰かのために行う姿勢。
ベクトルの向きを内から外に変えるだけで、今まで知らなかったことが目の前に広がります。

本書が述べてきたことには、派手さはありません。
しかし、この発想に至り整理した点については、非凡な着眼点があったと考えます。
こんなことを言えば、著者にとっては本意ではないのでしょう。
ただ、そう思えるだけのブレイクスルーを、本書は確実に与えてくれます。

おわりに

忘れがちなポイントですが、今ある多くの企業もまた、社会的需要の上に成り立っています。
世論があったらいい、ないと困る物事に解決策を提示しているのです。

本書が説く個人活動を「起業」と呼ぶことに関しては、当初違和感がありました。
しかし、上記のことを思い返せば、「起業」というフレーズは妥当なものだと言えます。

結局のところ、規模のレベルが違うだけのこと。
個人であれ企業であれ、ビジネスの根底にあるマインドは変わりません。
相手目線と他者との信頼関係こそが、仕事を生み、支えているのです。

ただし、そうであっても企業は多くの人間を抱えています。
社が掲げるマインドが全ての従業員に根付いているかというのは考えにくいこと。
大企業ならばなおさらです。

今後社会はますます、企業から個人の時代へと加速していくことでしょう。
それもこれも、このマインドを見失いがちな世の中になってしまったため。
社会はいつだって、このマインドが実践できる方向へと動いていくのです。


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