ファンタジー好きな人におすすめ!入江亜季著「群青学舎」


美しい絵で綴られる不思議な世界観の漫画が好きな人に、今回は「群青学舎」というコミックをご紹介いたします。読み切り形式の短篇集で物語の舞台は西洋風や和風と話によって違い、時代も現代風や中世ヨーロッパ風と様々です。
ストーリーの作りがしっかりしていて異世界風の世界観の物語でも現実感があり、作り物っぽさのないファンタジー漫画になっています。

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群青学舎の紹介

「群青学舎」は月刊誌コミックビームで2005年から2008年まで連載され、エンターブレインから全4巻で刊行されました。著者は入江亜季さんという漫画家さんで、こちらの作品は基本的に短編漫画集です。ただし、5話以降は前後編形式や3部作形式の話があります。

少女漫画的要素・少年漫画的要素が色々と含まれているので、男性女性ともに楽しめる作風。収録されている漫画はファンタジーの他にも、学園もの・友情ものなど多彩なジャンル構成がされています。入江亜季さんの絵柄の雰囲気はファンタジー向きの方なので、ファンタジー系の話が特に素敵です。

作者はストーリーごとに絵柄を変えるということはしませんが、話の雰囲気に合わせて柔らかいタッチにしたり鋭いタッチにしたりして変化をつけています。絵と話で読ませるタイプの漫画家さんなので、どの話でも個性があり飽きさせません。

ファンタジー漫画にはお姫様が定番で「群青学舎」にも登場しますが、儚げな助けを待つお姫様ではなく強い心を持つ一人の女性として描かれていて好感が持てます。

群青学舎の収録作品はこんな話(ファンタジー系)

「群青学舎」は短編集なので、色んな読み味の話が収録されています。その中からファンタジー系おすすめ作品を2作あげておきましょう。
2巻収録の「北の十剣」と3巻収録の「待宵姫は籠の中」。どちらもお姫様が主人公であり、人間的に魅力のある女性たちです。

北の十剣

主人公のお姫様は「北の十剣王国」国王長男の娘である王女・グゼニア。王位を狙う父の弟クルトに祖父母である国王・王妃と自分の父を殺され、グゼニア1人だけが生き延びます。
美しく人望のあるグゼニアの存在を疎むクルトは、息子のルーサーに彼女を殺すように命じる。

グゼニアは城から脱出できたがルーサーに捕まってしまい、牢の中に入れられてしまいます。ルーサーは父にグゼニアを殺すように言われているのに、王女の命を奪うことができませんでした。近い親族同士であるグゼニアとルーサーは、互いに密かに恋心を抱いている。簒奪者の息子ルーサーはグゼニアをやはり殺せず、グゼニアを救い城から一緒に逃亡する。

身内に父を殺され自らの命も狙われる身になっても、グゼニアは誇り高く自分の確固たる意志があり強い。不遇に涙するか弱いお姫様とは全く違い、困難にまっすぐ向き合います。

簒奪者に屈しようとは思わないグゼニアは王都への道を目指そうと決める。それがとても危険であることを承知し、行動しようとするグゼニアが凛として美しいです。

待宵姫は籠の中

こちらの主人公は蚱蟬王国の待宵姫で、自国から嫁ぎ先のトベラ共和国へ輿入れする道中で山賊に襲われてしまいました。待宵姫は山賊の親分であるマミジロにさらわれ、嫁にするために軟禁される。蚱蟬王国は女性の美しさで名が知られていて、もちろん待宵姫の容姿も美しい。キレイなものが好きなマミジロに、待宵姫は好みの女性だったのです。

待宵姫はマミジロの妻になることを当然嫌がります。抵抗から食べ物を口にしない姫にマミジロが力づくで食べさせようとした所を、彼の母が見つけマミジロを怒ったことで檻から出してもらえることに。嫁ぐために従順な性質になるよう育てられた箱入り育ちの待宵姫は、さらわれた先で様々なことを知り自分の意思を持つようになりました。

トベラ共和国への嫁入りは政略結婚のようなもので、相手は老人で待宵姫が望んでの結婚ではない。狭い世界から解放されマミジロらと関わり知識を得ていく中で、彼女の心はだんだん変わっていきマミジロに惹かれるようにもなります。

自分の考えで自国の蚱蟬王国から出たいと思うようになった待宵姫は、蚱蟬王国に戻ることにする。人形のように自我の薄かった姫君が、山賊にさらわれ外の世界に触れたことで強い自我を得ていく。自我が芽生え人を想う経験を知っていく待宵姫の様子は、かわいらしく温かさがあります。

おわりに

入江亜季さんの「群青学舎」は良い作品がいっぱいで、何度も読み返したくなるほどです。ストーリーが濃厚なので短篇集なのに、長編漫画を読んだような満足感がします。ハッピーエンドのお話が多く、明るい気持ちで読み終われます。


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