コントだけじゃない、お笑い芸人が書いた傑作小説


本屋さんなどで「この人、小説書いていたんだ!」と驚いたことはありませんか?

著名人の本と言えば自伝やエッセイの印象がありますが、意外にも小説を書いている著名人は多く、そして素晴らしい作品を生み出しています。

この記事では、そんな意外な著名人の中から、お笑い芸人の

  • 又吉直樹さん(ピース)
  • 劇団ひとりさん
  • 鳥居みゆきさん

以上の3人をピックアップし作者ごとに分け、主にそれぞれの代表的な小説をご紹介するとともに、同じ方が書かれている他の作品も軽くご紹介していきます。

著名人が書いた小説は物語を楽しめるだけでなく、テレビを見ているだけではわからないちょっと違った一面を知ることもできるという魅力もあります。

是非、最後までご覧ください。

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又吉直樹さん(ピース)

『火花』

こちらの作品をご存知の方は多いのではないでしょうか。
お笑い芸人であるピース又吉直樹さんの小説デビュー作で、2015年の芥川賞を受賞した中編小説です。

発売からわずか1週間でなんと35万部を突破し、当時大変な話題となりました。

売れない若手芸人・徳永の葛藤と、その徳永が師として仰ぐ先輩・神谷の生き様を、力強い文章でリアルに描いています。
笑いとは、漫才師とは、人間とは、といった哲学的要素も多く、考えさせられるポイントの多い一冊です。

軽く読める内容ではありませんが、よく練られた構成と選び抜かれた言葉で綴られていく苦々しい青春が読み手の心を動かします。

純文学とギャグという組み合わせでありながらも違和感がなく、内面描写がしっかりとしており、芸人の人生を垣間見た様な気分にさせられます。

掌編集『東京百景』

又吉さん独自の視線で捉えた東京での日々を、巧みな言葉で風景とともに綴った100編の掌編から成る一冊です。

自伝的エッセイのようなこの「東京百景」は、小説「火花」よりも又吉さんの考え方、人柄を知ることができる作品と言えるでしょう。

あちこちの地名がタイトルになっており、下積み時代を中心として、その地にまつわる作者の様々な出来事が描かれています。

笑い、涙、切なさ、そして哀愁がぎゅっと詰まっていながらも、どのお話も1ページから長くても数ページと、短くまとまっています。

コンパクトなサイズと落ち着いたデザインの装丁で持ち運びしやすく、日常の隙間時間にもぴったりな作品です。

 

『第2図書係補佐』

読書家としても知られる又吉さん。

この本では、エッセイ形式で紹介するオススメの作品を通して、自身や身の回りに起こったことについても綴っています。

本への愛情が伝わってくる紹介のほか、芥川賞作家の中村文則氏との対談なども収載されており、優しい作風でありながらも内容の濃い一冊となっています。

 

また、これらの他にも、又吉直樹さんは自由律俳句集「カキフライが無いなら来なかった」「まさかジープで来るとは」なども書かれています。

 

劇団ひとりさん

『影日向に咲く』

劇団ひとりさんの小説デビュー作であり、陽の当たらない人生を送る人々の繋がりを描いた物語です。

「ホームレスを夢見るサラリーマン」「売れないアイドルをひたすら応援する青年」「場末の舞台に立つお笑いコンビ」など、それぞれの人生を描いた短編で構成されていながらも、思いがけないところでそれぞれの物語が別の物語と交差し、繋がっていくという作品になっています。

文章が自然体でテンポが良く、ユーモアあふれる表現は秀逸で、読み手を飽きさせません。

切なくも温かく優しい、ゆったりとした雰囲気の作品ですが、物語性が非常に高く、予想できないラストには誰もがハッとさせられることでしょう。

1つの大きな物語としても、短編としても深く心に残る傑作小説です。

 

『青天の霹靂』

劇団ひとりさんの2作目の小説です。

学歴もお金もなければ恋人もいない主人公・晴夫。

そんな彼の人生に起きる奇跡を描いた長編小説です。
1作目の「影日向に咲く」同様に人と人が思わぬところで繋がっていて、物語が複雑に絡んでいきます。

劇団ひとりさんらしい、面白おかしくも自然体で奥の深い文章は、やはり読者を引き込みます。
清々しい感動を味わうことのできる一冊です。

これらの他にも、劇団ひとりさんはエッセイ「そのノブは心の扉」なども書かれています。

鳥居みゆきさん

『夜にはずっと深い夜を』

「きたないものがきらいなきれいなお母さん」「真夜中のひとりごとが止まらないシズカ」「花言葉で未来をうらなう華子」「地獄にとりつかれた女」「一匹の虫から人生が狂いはじめるのり子」など、壊れゆく不幸な女性たちの狂気や孤独を描いた短編集です。

まるでコントの台本のようでありながらも、捻じれていく日常や不気味な挿絵、そして巧みな言葉遊びによって深い闇に引きずり込まれていきます。

なんだか不気味で怖いけれど、ページを捲る手を止められない。

とにかく不思議な感覚になる一冊です。

また、それぞれの短編が繋がっていて、奥深く不思議な世界がどんどんと広がっていきます。
テレビで見る鳥居さんとはまた違った狂気を味わうことができる、美しくも恐ろしい物語となっています。

『余った傘はありません』

鳥居みゆきさんの2作目の小説で、生まれたときからずっと比べられ、常にお互いを羨みながら生きてきた、双子姉妹の「よしえ」と「ときえ」の一生を描いた長編連作小説です。

疾走感があり、明晰で読みやすい文章でありながら、話の内容に合わせて文体を変えるなどといった様々な技巧を駆使して綴られています。

伏線が張り巡らされているので、できれば一気に読むことをオススメします。

デビュー作同様、狂気的で怪しく不思議なテイストの物語なのですが、今回はホラー的要素や「死」に関する話が多く収録されています。

気味の悪さに鳥肌さえ立ってしまうシーンや、あまりの絶妙さに思わず唸ってしまうシーンもあります。

鳥居さんの舞台やコントを知っている方は、この作品の鳥居さんらしさに納得してしまうのではないでしょうか。

子供向け絵本『やねの上の乳歯ちゃん』

鳥居みゆきさん初の「子ども向け」絵本です。

ある日突然、やねの上に飛ばされた乳歯ちゃんを主人公として、「成長とは、大人とは、子どもとは」をテーマに描いた大人も楽しめる絵本となっています。

子ども向け絵本ということで、小説とはまた違った感じではありますが、読み進めるうちに「やはり鳥居みゆきさんの作品だ!」と思わされることでしょう。

おわりに

さて、又吉直樹さん、劇団ひとりさん、鳥居みゆきさんの3人のデビュー作をはじめとした小説などを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ご紹介した3人はどなたも違う良さを持っていて、とても魅力的な物語を描く方々です。
是非一度、読んでみて下さい。

この記事が、皆さんの読書生活の一つの助けとなれば幸いです。

最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。


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