毎日が命がけのウェイトレス!職場は殺し屋が集う定食屋?「DINER ダイナー」


今年の夏に公開されヒットしている映画「DINER ダイナー」には、原作となっている小説があります。タイトルもそのまま映画「DINER ダイナー」。作者はスプラッタな描写で定評のあるホラー小説家、「平野夢明」さんです。

平野夢明さんのホラー小説は、設定が風変わりかつ複雑怪奇な点が魅力。ミステリー小説も執筆していて、こちらの分野でも設定の独特さなどで高い評価を受けています。

今回ご紹介する映画「DINER ダイナー」の原作、小説版「DINER ダイナー」はミステリーに社会の暗黒面がふんだんに詰め込まれた作品です。

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小説版「DINER ダイナー」の紹介

「DINER ダイナー」はポプラ社から2009年に単行本化され、2019年現在では文庫化もされています。ミステリー要素を含みつつ殺し屋が多数登場するので、ハードな暴力描写などある過激な内容です。

小説の主人公はオオバカナコという女性であり、アルバイト代が30万という怪しい仕事に軽い気持ちで応募する。上手い話には裏があるもので、求人は裏社会に関するものだったため闇の世界に関わることになってしまいました。

裏社会の人物を怒らせたことで命を助ける代わりに、カナコはある定食屋にウェイトレスして「売られる」。雇ってもらうのではなく、人身売買され定食屋さんに買われたのです。

裏社会が仲介する定食屋は、もちろん普通の飲食店ではありません。殺し屋専門のお店でカナコが接客する相手となるのは、犯罪組織から仕事を負うプロの殺し屋たち。

一般のお客様が来ない殺し屋専門ダイナー「キャンティーン」で、元殺し屋の店のマスター・ボンベロの下につきカナコは危険な職場で働き死が身近な日々を送ることになります。

「キャンティーン」ではウェイトレスにお客様からクレームがあったら、その場ですぐにウェイトレスは殺される決まり。カナコの接客はまさに命がけです。

買われたウェイトレス・カナコ

主人公のオオバカナコは一般人の感覚を持っていますが、いい加減な所がありお金に困って怪しい高給アルバイトに手を出しました。これまでの人生を一生懸命に生きてこなかったカナコは、そのツケのようにとんでもない職場で働くことになってしまいます。

ちゃんとしないと殺すとオーナーから言われているカナコ。殺し屋専門のダイナーではウェイトレスの命など軽く、死んだらまた新しいウェイトレスを連れてくればいいという程度。

死にたくないカナコは毎日ヒヤヒヤしながら仕事をしてオーナーに殺されかけもしますが、ボスの高級ボトルを隠すなどして立ち回り何とか自分の命を守ります。

逆境の中にいると人間強くなることがありますが、カナコは常識が通用しないダイナーの仕事を通してタフになっていきます。

殺し屋たちの哀愁

カナコが働くダイナーに訪れる客は、みんな殺し屋を職業にしています。オーナーのボンベロの弟子にあたる美女の炎眉、コートに爆弾を仕込んでいる全身傷だらけのスキン、実年齢は中年であるのに見た目は少年のキッド。

人の命を奪う仕事に就く彼らは、それぞれが過去と精神に傷を抱えている。

スキンはスフレが好きでダイナーで注文するが、オーナーはいつも不純物の入ったスフレを出すので食べられません。母親が作ったスフレに強いトラウマを持つスキンは、スフレを食べると狂う危険性があり意図的にオーナーは食べられるスフレを出さなかったのです。

キッドは女性や子どもをターゲットにしている殺し屋で、他の殺し屋たちは避けたがる仕事をしているのは生い立ちが関係しています。生家は売春宿を経営していてキッドも、祖母と母親に赤ん坊の頃から体を売らされていました。肉親に身を売らされ心が歪み、キッドは女性と子どもを好んで殺すように。

スキンは母親に何をされたのか、キッドが女性と子どもの命を奪うのは憎悪が関わっているのか。殺し屋にいたる間の人生に、壮絶な経験をしたことが伺えます。

オーナーのボンベロの過去も、生易しいものではない。

暗い中を生きて人を殺す職業を選んだダイナーの客たちが、少し切なく映ります。

おわりに

「DINER ダイナー」は殺し屋が出てくるので、残酷でグロテスクな場面も多く読み手を選ぶ面があります。その中に救いや心の結ぶつきなど、心を打つヒューマンドラマが含まれている。映画「DINER ダイナー」を見る前に、小説版「DINER ダイナー」も読んでみましょう。


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